ISO9001 7.1.5で必要な記録と台帳項目【早見表・2026年版】
品質管理ノウハウ

ISO9001 7.1.5で必要な記録と台帳項目【早見表・2026年版】

2026年6月25日20分で読める

ISO9001:2015の7.1.5で残すべき記録は、「校正もしくは検証の記録」「機器の識別」「保護の状態」の3カテゴリです。条文(7.1.5.2)は記録の中身を抽象的にしか書いていないため、現場では「結局、台帳のどの欄を埋めればいいのか」が分からず止まりがちです。本記事は、その抽象的な要求を実際の台帳カラム・記録様式へ1対1で翻訳することに絞ります。

対象は、ISO9001(および上乗せ要求としてのIATF16949)の認証を維持する品質保証・品質管理部門の担当者です。7.1.5.2を(a)校正/検証・(b)識別・(c)保護の逐条で分解し、それぞれを「監査で見られる観点」と「台帳の必須項目・記録様式」に対応づけます。校正周期の決め方と、規格外読み値が出たときの遡及記録までを出典付きで整理します。

7.1.5で残すべき記録は3カテゴリ

ISO9001:2015の7.1.5で残すべき記録は、(1)校正もしくは検証を行った証拠、(2)機器を一意に特定し校正状態が判別できる識別、(3)調整・損傷・劣化からの保護の状態、の3カテゴリに集約されます。校正作業を社内で行うことは要件ではなく、外部の校正事業者に依頼した結果を記録・保管する運用でも、この3カテゴリがそろっていれば要求を満たせます。

30秒早見表(3区分と必須項目)

7.1.5の記録は3区分に分けて台帳・証明書・ラベルに割り当てると整理できます。下表は各区分で最低限そろえる項目です。

ISO9001 7.1.5の記録3区分と必須項目をまとめた30秒早見表の図解
ISO9001 7.1.5の記録3区分と必須項目をまとめた30秒早見表の図解
記録区分規格上の根拠残す媒体必須項目(例)
(a)校正/検証の記録7.1.5.2(a)台帳・校正証明書校正日・次回校正日・判定・標準器情報・校正実施者
(b)識別7.1.5.2(b)台帳・校正ラベル管理番号・校正状態(合格/期限切れ等)・有効期限
(c)保護7.1.5.2(c)台帳・点検記録保管場所・取扱区分・損傷/劣化の有無

この3区分のどれが欠けても、審査では「測定結果の妥当性を証明できない」という指摘につながります。出典:ISO9001:2015 7.1.5.2(https://www.iso.org/standard/62085.html)。

「文書化した情報」とは何を指すか(7.1.5.1)

ここでいう記録は、規格用語で「文書化した情報(documented information)」にあたります。7.1.5.1は、監視・測定に用いる資源が「目的に合致し、適切に維持されていることの証拠」を保持することを求めています。

つまり媒体は問われません。問われるのは「いつ・どの機器を・どの標準で・誰が校正/検証し・結果がどうだったか」を後から追跡できる形で残っているかです。Excelでも要求自体は満たせますが、台数が増えると期限管理の漏れや版管理の混乱が起こりやすく、その状態が指摘の温床になります。

7.1.5.2を逐条で台帳項目に翻訳

7.1.5.2は測定のトレーサビリティに関する要求で、(a)校正もしくは検証・(b)識別・(c)保護の3点を求めます。これを抽象的な条文のまま読むと記録様式に落ちないため、ここでは逐条で台帳カラムへ翻訳します。

ISO9001 7.1.5.2の(a)(b)(c)を台帳カラムへ翻訳した対応表の図解
ISO9001 7.1.5.2の(a)(b)(c)を台帳カラムへ翻訳した対応表の図解

(a)校正もしくは検証:管理番号・標準器情報・次回校正日

7.1.5.2(a)が求めるのは、国際標準もしくは国家標準にトレーサブルな標準に対して、定められた間隔で又は使用前に校正もしくは検証し、その証拠を残すことです。校正と検証はどちらかを選べますが、台帳に残す項目は共通して以下になります。

最低限のカラムは、管理番号(機器の一意特定)・校正日・次回校正日・判定(合格/要調整等)・使用した標準器情報・校正実施者です。標準器情報は、外部の校正事業者に依頼した場合は校正証明書に記載された内容を参照できる形でひも付けます。該当する国家標準が存在しない場合は、校正に用いた根拠を文書化します。出典:ISO9001:2015 7.1.5.2(a)。

(b)識別:状態が判別できる識別

7.1.5.2(b)は「校正の状態が判別できるように識別する」ことを求めます。条文はラベルの様式まで指定していませんが、台帳上では管理番号と校正状態を必ず持たせます。

台帳の状態欄には、合格・期限切れ・使用停止・調整待ちといった状態区分を置き、有効期限(次回校正日)と連動させます。現場の機器には校正ラベルを貼り、台帳の状態と一致させるのが一般的です。識別が機器・台帳・ラベルの三者で食い違うと、「どの機器がいつまで使えるか」を証明できず指摘対象になります。出典:ISO9001:2015 7.1.5.2(b)。

(c)保護:調整・損傷・劣化からの保護

7.1.5.2(c)は、測定結果の妥当性を無効にするような調整・損傷・劣化から機器を保護することを求めます。記録としては、保管場所・取扱区分(防塵/温湿度管理の要否等)・損傷や劣化の有無を残します。

具体的には、台帳に保管場所カラムを設け、点検時に外観・動作の異常有無を記録します。不正な調整を防ぐ封印や、持ち出し・返却の管理もこの保護に含まれます。保護は「事故が起きたとき」に効く記録で、後述の遡及影響評価の起点にもなります。出典:ISO9001:2015 7.1.5.2(c)。

記録様式に落とす(台帳・証明書・ラベル)

3カテゴリの記録は、実務では校正台帳・校正証明書・校正ラベルの3つの様式に分散します。この3つが管理番号でひも付いていれば、監査で「機器→記録→証拠」を一本でたどれます。

校正台帳の必須カラム例

校正台帳は、3カテゴリの記録を1行に集約する中心の様式です。最低限そろえるカラムは下表のとおりです。

校正台帳の必須カラム見本を示した台帳イメージの図解
校正台帳の必須カラム見本を示した台帳イメージの図解
カラム対応する要求内容
管理番号(b)識別機器を一意に特定する番号
型式・名称(b)識別機器の種類
校正周期(a)校正/検証組織がリスクで決めた間隔
校正日/次回校正日(a)(b)直近の校正日と次回期限
判定(a)合格・要調整などの結果
標準器情報(a)使用した標準・証明書番号
保管場所(c)保護設置・保管の場所
担当(a)(c)管理・校正の責任者

この台帳は、計測器校正HUBのような管理ツールでも、管理番号・型式・校正周期・精度基準・保管場所・担当をカラムに持ち、次回校正日を自動計算する形で再現できます。なお、摩耗傾向グラフや統計解析(MSA)は7.1.5の必須要求ではなく、IATF固有の上乗せ要求で管理ツールの守備範囲外です。

校正証明書のひも付け方

校正証明書は、(a)校正/検証の客観的証拠そのものです。外部の校正事業者に依頼した場合、証明書には標準器情報・校正結果・実施日が記載されており、これを台帳の管理番号にひも付けて保管します。

紙で保管する場合は綴じ込み番号を台帳に記載し、電子保管する場合はファイルを管理番号で紐付けます。証明書が台帳から独立して散在していると、監査時に該当機器の証拠を即時に提示できません。管理ツールでは証明書PDFを機器レコードに添付し、台帳から1クリックで証拠を開ける状態にしておくと、提示の手間が減ります。

校正ラベル(状態識別)の記載項目

校正ラベルは、(b)識別を現場で可視化する様式です。規格は様式を指定しませんが、実務では下記の項目を記載することが多くなります。

校正ラベルの記載項目をまとめたラベル見本の図解
校正ラベルの記載項目をまとめたラベル見本の図解

記載項目の例は、管理番号・校正日・次回校正日・校正者(または事業者名)・状態区分です。ラベルの内容は台帳と一致させ、期限が切れた機器には「使用停止」等が判別できる識別を付けます。ラベルが貼れない小型機器は、台帳側で識別を担保する旨を手順に定めておきます。出典:ISO9001:2015 7.1.5.2(b)。

不適合・遡及時に必要な記録

7.1.5.2は、機器が目的に適合しないと判明した場合に「それまでに得た測定結果の妥当性への悪影響を判断し、必要な処置を取る」ことを求めます。この遡及の判断と処置を記録に残すことが、不適合時の核心です。

規格外読み値が出たときの記録(妥当性評価)

校正で機器が規格外(許容を外れている)と分かったら、前回の合格校正以降に行った測定結果が信頼できるかを評価し、その判断を記録します。

規格外読み値から遡及妥当性評価までの手順を示したフロー図の図解
規格外読み値から遡及妥当性評価までの手順を示したフロー図の図解

残す記録は、規格外を検知した校正の結果・影響範囲(対象期間と対象製品/工程)・妥当性の判断・取った処置(再測定・出荷停止・顧客連絡等)です。ここで「調整して直したから問題なし」と短絡せず、過去への影響を評価した証跡を残すことが審査で問われます。出典:ISO9001:2015 7.1.5.2。

周期はリスクで決める(記録に根拠を残す)

校正周期は規格が一律に決めるものではありません。7.1.5.2は「定められた間隔で、又は使用前に」とするのみで、年数は示しません。間隔は使用頻度・要求精度・使用環境・過去の校正結果といったリスクに基づき組織が決定します。

重要なのは、決めた周期の根拠を残すことです。国際的なガイダンスとしてOIML D10:2022やILAC-G24があり、過去の校正結果を踏まえて間隔を見直す考え方が示されています。台帳には校正周期カラムを設け、なぜその間隔にしたかを手順書や見直し記録で補完しておくと、周期に関する指摘に答えられます。出典:OIML D10:2022(https://www.oiml.org/en/files/pdf_d/d010-e22.pdf)。条文の全体像は[ISO9001の計測器校正管理と7.1.5要求の全体像](/blog/iso9001-keisokuki-kousei-kanri)で整理しています。

まとめ

ISO9001 7.1.5で必要な記録は、(a)校正もしくは検証・(b)識別・(c)保護の3カテゴリで、これを台帳・校正証明書・校正ラベルの3様式に管理番号でひも付けて残すことが要点です。台帳の必須カラムは管理番号・校正日・次回校正日・判定・標準器情報・保管場所・担当で、周期はリスクで決め根拠を残します。不適合時は過去の測定結果への遡及影響評価を記録する点を忘れないでください。校正作業そのものは外部の校正事業者に依頼し、SaaSはその記録と証拠を一元管理するという役割分担で、これらの要求は十分に満たせます。

よくある質問

Q. ISO9001 7.1.5で必要な記録は具体的に何ですか?

校正もしくは検証の記録、機器の識別、保護の状態の3カテゴリです。台帳では管理番号・校正日・次回校正日・判定・標準器情報・保管場所・担当などが必須項目になります。出典:ISO9001:2015 7.1.5.1/7.1.5.2。

Q. トレーサビリティの記録には何を残しますか?

国際標準もしくは国家標準にトレーサブルな標準に対して校正した証拠(校正証明書・標準器情報)を残します。該当する標準が存在しない場合は、校正に用いた根拠を文書化します。出典:ISO9001:2015 7.1.5.2。

Q. 校正ラベルには何を書けばよいですか?

規格は「校正の状態が判別できる識別」を求めるのみですが、実務では管理番号・校正日・次回校正日・校正者・状態区分を記載することが多いです。台帳の内容と一致させます。出典:ISO9001:2015 7.1.5.2(b)。

Q. 測定機器が規格外だと分かったらどうしますか?

それまでに得た測定結果の妥当性への悪影響を判断し、影響範囲と取った処置を記録します(遡及影響評価)。調整して直したことだけで完了とせず、過去への影響評価の証跡を残します。出典:ISO9001:2015 7.1.5.2。

出典

ISO9001 7.1.5の3カテゴリの記録を台帳・証明書・ラベルで一元管理し、次回校正日の自動計算と期限アラートまでまとめたい方は、計測器校正HUBの14日無料トライアル(クレジットカード不要)でご確認ください。

関連記事

14日間の無料トライアルをお試しください

計測器台帳・校正期限管理、証明書保管から監査対応の台帳/証明書出力までこれ1つで。クレジットカード登録不要、月額2,980円〜。

関連記事