
校正依頼書・校正指示書の書き方|計測器の記載項目とテンプレート【2026年版】
校正依頼書・校正指示書は、機器の識別・校正範囲と測定点・校正の種類(JCSS/一般)・不確かさと判定基準・納期・証明書の様式という記載項目をそろえ、外部発注は依頼書、社内校正は指示書として書き分けるのが基本です。計測器メーカーが公開する依頼書は空欄フォームが多く、文章校正のテンプレとも混同されやすいため、「計測器の校正で何を書けばよいか」がかえって分かりにくくなっています。
本記事は、依頼書・指示書に必ず入れる記載項目チェックリストと、外部依頼・社内指示それぞれの書き方テンプレートを示し、発行後の証明書受領・台帳への紐付け・期限管理までを一続きで整理します。校正作業そのものは校正業者やJCSS登録事業者へ依頼する前提で、記録・台帳・期限の管理は計測器校正HUBのようなツールが担う、という役割分担も明確にします。
結論:校正依頼書・校正指示書に必ず書く記載項目
「校正依頼書」は外部の校正業者へ「この機器をこう校正してほしい」と発注する文書、「校正指示書」は社内の校正担当者へ「この手順・基準で校正せよ」と指示する文書です。宛先と目的は違いますが、機器を一意に識別し、校正の範囲・種類・判定基準・納期・記録様式をあいまいさなく伝える点は共通します。
校正依頼書と校正指示書の違い(外部依頼/社内指示)
校正依頼書は外部発注、校正指示書は社内の作業指示です。依頼書は「何を要求するか」を業者に伝え、指示書は「どう実施し何を記録するか」を社内で定めます。ISO9001:2015 7.1.5.2は、トレーサブルな標準に対して校正もしくは検証を行い証拠を残すことを求めており(出典 ISO9001:2015 7.1.5.2)、依頼書・指示書はこの証拠づくりの入口にあたります。

| 文書 | 宛先 | 主な目的 | 中心となる記載 |
|---|---|---|---|
| 校正依頼書 | 外部の校正業者 | 発注・要求仕様の伝達 | 校正の種類・範囲・判定基準・納期・証明書様式 |
| 校正指示書 | 社内の校正担当者 | 作業手順の指示 | 使用標準器・手順・環境条件・記録様式 |
記載項目チェックリスト(表)
下表は、依頼書・指示書に共通する記載項目と、それぞれに固有の項目を整理したチェックリストです。自社の様式に不足がないかの点検に使えます。出所は計測器校正HUBが作成した様式テンプレートで、メーカー公開様式(A&D・白光の校正依頼書様式)の記載項目を参照根拠にしています。

| 区分 | 記載項目 | 依頼書 | 指示書 |
|---|---|---|---|
| 機器の識別 | 管理番号・型式・製造番号 | ○ | ○ |
| 校正範囲 | 測定範囲・校正点(測定点) | ○ | ○ |
| 校正の種類 | JCSS校正/一般校正の別 | ○ | △ |
| 判定 | 要求精度・判定基準・不確かさの要求 | ○ | ○ |
| 手順・条件 | 使用標準器・校正手順・環境条件 | △ | ○ |
| 納期・返却 | 希望納期・代替機の要否 | ○ | — |
| 記録・成果物 | 証明書様式・データ受領形式・記録様式 | ○ | ○ |
校正依頼書の書き方(外部業者への発注様式)
校正依頼書は、外部の校正業者に発注する際の要求仕様書です。要求の出どころ(顧客要求・適用規格・社内規定)を先に確認したうえで、次の項目を過不足なく記載します。書式は自由ですが、業者が見積と作業をそのまま起こせる粒度で書くのが実務のコツです。

機器の識別と校正範囲・測定点の指定
機器は管理番号・型式・製造番号で一意に識別します。同型機が複数ある現場では型式だけでは特定できないため、管理番号を必ず添えます。校正範囲は実際に使う測定範囲に合わせて指定し、必要な測定点(校正点)を明示します。使わない広い範囲まで依頼するとコストと納期が増えるため、実使用範囲に絞るのが実務的です。
校正の種類(JCSS/一般)と不確かさ・判定基準の要求
校正の種類は、JCSS校正か一般校正かを依頼書に明記します。JCSSは計量法第143条第1項に基づく校正事業者登録制度で(出典 NITE/IAJapan・計量法第143条第1項)、JCSS校正証明書には登録標章が付きます。どちらを要求するかは顧客・規格の要求で決まるため、JCSS校正・一般校正の違いを踏まえて選びます。自動車業界のIATF16949:2016では、外部の校正機関にISO/IEC 17025認定、または顧客が承認した証拠を求めます(出典 IATF16949:2016 7.1.5.3.2)。あわせて、測定の不確かさの記載要否や、合否判定を依頼するかを指定します。校正証明書は原則として結果報告で合否は使用者が判断するため、判定付き成績書が必要なら依頼書で明示します。どの業者に出すかの評価軸は校正業者の選び方で整理しています。
納期・証明書様式・データ受領形式の指定
納期は使用計画から逆算し、校正中に測定が止まらないよう代替機の要否も記します。証明書の様式は、紙/PDFの別・記載言語・測定データの受領形式(CSV等)まで指定すると、受領後の台帳登録がスムーズです。メーカーも修理・校正依頼書の様式を公開しており(例: A&D・白光の依頼書様式)、それに自社の管理番号欄・データ受領形式欄を足して使うと自社運用に合わせやすくなります。
校正指示書の書き方(社内校正の作業指示)
校正指示書は、社内で校正・検証を行う担当者への作業指示書です。誰が実施しても同じ結果になるよう、使用する標準器・手順・環境条件・判定基準・記録様式を具体的に定めます。指示書があいまいだと担当者ごとに結果がぶれ、記録の一貫性が失われます。

使用する標準器・手順・環境条件の明記
指示書には、使用する標準器(上位へトレーサブルなもの)とその管理番号、校正手順、温湿度などの環境条件を明記します。校正(calibration)は標準による値の関係づけ、調整(adjustment)は指示値を合わせ込む操作で、両者は別の行為です(出典 JIS Z 8103:2019)。指示書では、調整の要否と、調整前後の値をどう記録するかまで定めておくと、後の遡及確認に耐えられます。
合否判定基準と記録様式の指定
社内校正では、要求精度から定めた合否判定基準(許容差)と、測定不確かさの扱いを指示書に書きます。ISO9001:2015 7.1.5.2は判定の年数や方法を一律に定めないため(出典 ISO9001:2015 7.1.5.2)、判定基準の根拠は社内で決めて記録に残します。記録様式は、校正日・測定値・器差・判定・実施者を1つの様式にそろえ、台帳と同じ管理番号でひも付くよう設計します。
依頼書・指示書を出したあとの記録・期限管理
依頼書・指示書を出して校正が終われば完了、ではありません。受領した証明書・記録を台帳にひも付け、次回校正日を管理して失効を防ぐところまでが一続きの実務です。ここが抜けると、せっかくの校正記録が証拠としてすぐ出せなくなります。

証明書の受領と台帳への紐付け
外部校正では校正証明書、社内校正では校正記録が成果物です。これらは機器の管理番号で台帳にひも付け、いつでも証拠を提示できる状態にします。証明書が台帳から離れて散在すると、監査時に該当機器の証拠を即時に示せません。証明書の命名規則や電子保管の設計は校正証明書の管理・電子化で整理しています。
次回校正日と期限アラートで失効を防ぐ
受領後は、証明書の校正日をもとに次回校正日を設定し、期限前にアラートで気づける状態にします。校正周期は「○年ごと」と一律に決めるものではなく、使用頻度・要求精度・使用環境・過去の校正結果を踏まえて組織が設定します(出典 ISO9001:2015 7.1.5.2)。校正作業そのものは校正業者や社内校正で実施し、依頼書の発行から証明書の保管・次回校正日の管理までを担うのが計測器校正HUBのような管理ツールです。運用ルールを社内文書として定めるなら計測器管理規程の作り方も参考になります。
まとめ
校正依頼書・校正指示書は、機器の識別・校正範囲と測定点・校正の種類(JCSS/一般)・判定基準と不確かさの要求・納期・証明書様式という記載項目をそろえ、外部発注は依頼書、社内校正は指示書として書き分けます。依頼書は「何を要求するか」を業者に、指示書は「どう実施し何を記録するか」を社内担当者に伝える文書です。発行後は証明書・記録を管理番号で台帳にひも付け、次回校正日を管理して失効を防ぎます。校正作業は校正業者やJCSS登録事業者へ依頼し、記録・台帳・期限の管理はツールで担う役割分担が実務的です。
よくある質問
Q. 校正依頼書には何を書けばよいですか?
機器の識別(管理番号・型式)、校正範囲・測定点、校正の種類(JCSS/一般)、不確かさ・判定基準の要求、納期・代替機、証明書の様式・受領形式(PDF/CSV)を記載します。要求の出どころ(顧客・規格・社内規定)を確認してから作成します(出典 ISO9001:2015 7.1.5.2)。
Q. 校正依頼書と校正指示書は何が違いますか?
校正依頼書は外部の校正業者へ発注し要求仕様を伝える文書、校正指示書は社内の校正担当者へ出す作業指示で、使用標準器・手順・環境条件・合否判定基準・記録様式を指定します。宛先と目的が異なります。
Q. 依頼書にJCSS校正と一般校正のどちらを要求すべきですか?
顧客・規格の要求で決まります。JCSSが指定・必須なら依頼書に明記し、不要なら一般校正でも要求を満たせる場合があります。要求の出どころを依頼書作成前に確認します(出典 ISO9001:2015 7.1.5.2/JCSSは計量法第143条第1項)。
Q. 計測器の校正依頼書のテンプレートはありますか?
計測器メーカー(A&D・白光など)が自社機器向けの修理・校正依頼書様式を公開しています。汎用の記載項目は本記事のチェックリストを参照し、機器の識別・校正範囲・校正の種類・不確かさ・納期・証明書様式をそろえます。
出典
- ISO 9001:2015 7.1.5.2(監視及び測定のための資源・測定のトレーサビリティ): https://www.iso.org/standard/62085.html
- JCSS 校正事業者登録制度(計量法第143条第1項)|製品評価技術基盤機構(NITE)IAJapan: https://www.nite.go.jp/iajapan/jcss/
- JIS Z 8103:2019(計測用語・校正/調整/検証の定義): https://kikakurui.com/z8/Z8103-2019-01.html
- IATF 16949:2016 7.1.5.3.2(外部試験所・校正機関の要求): https://www.iatfglobaloversight.org/iatf-169492016/
計測器校正HUBは、校正依頼書の発行から証明書の保管・台帳への紐付け・次回校正日の管理までを一元化するツールです。料金・機能の詳細や無料での製品体験については、お問い合わせからご案内しています。
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