
校正記録・証明書の保管期間は何年?決め方と廃棄後の管理
ISO9001は校正記録の一律の保管年数を定めていないため、顧客要求、製品の追跡期間、保証、機器廃棄後の必要性を基に自社で決めます。機器を廃棄した日だけで証明書を削除すると、その機器で測定した製品について後から説明できなくなることがあります。品質保証部門には、記録の利用目的から保管期間と廃棄条件を決める視点が必要です。
本記事では、証明書、結果票、校正依頼、修理、異常処置を分け、期間の根拠、起算点、媒体、承認者を決める方法を解説します。紙原本、スキャンPDF、発行元から受領したデジタル原本の違いも整理し、機器廃棄後まで検索できる管理へつなげます。
校正記録の保管年数は自社で根拠を決める

保管期間は「校正証明書を何年残すか」だけでなく、どの記録を、何の説明に使い、いつから期間を数えるかを一組で決めます。同じ機器IDに紐付く記録でも、証明書と異常処置記録では利用目的が異なるため、記録種別ごとの判断が必要です。
校正記録の保管期間とは
校正記録の保管期間とは、測定結果の妥当性と監査・顧客説明に必要な証拠を保持するため、自社が記録種別ごとに定める期間です。ISO9001の監視・測定資源に関する要求は、必要な記録を管理する趣旨を含みますが、校正記録について一律の保存年数を示してはいません。
したがって、品質保証責任者は顧客要求、契約、適用法令、自社規程を確認し、製品の追跡や保証に必要な期間と照合します。ISO監査で通る校正記録の残し方で扱う記録内容とは区別し、本記事では保持と廃棄の判断根拠を明確にします。
記録種別と決定根拠の早見表
最初に、証明書、結果票、依頼記録、修理記録、異常処置記録の5種を棚卸しします。利用目的、期間根拠、起算点、保管媒体、廃棄承認を横並びにすると、「台帳だけ残して証明書がない」といった欠落を見つけやすくなります。
| 記録種別 | 主な利用目的 | 期間根拠 | 起算点の候補 | 媒体 | 廃棄承認 |
|---|---|---|---|---|---|
| 校正証明書 | 対象機器と実施結果の説明 | 顧客要求・製品追跡 | 校正日・承認日 | 紙・デジタル原本 | 品質保証責任者 |
| 校正結果票 | 測定点や結果の確認 | 使用可否判断・監査 | 結果承認日 | 紙・PDF | 品質保証責任者 |
| 校正依頼 | 発注範囲と要求の確認 | 契約・受入れ確認 | 依頼日・完了日 | 電子文書 | 発注責任者 |
| 修理記録 | 修理後の状態と再校正の説明 | 製品影響・履歴追跡 | 修理完了日 | 紙・PDF | 機器管理責任者 |
| 異常処置記録 | 影響範囲と処置の説明 | 顧客要求・遡及範囲 | 異常判明日・処置完了日 | 電子文書 | 品質保証責任者 |
表の期間欄には一般例を転記せず、自社が確認した根拠と承認済みの期間を入力します。記録同士の関係も管理し、結果票を廃棄した後に証明書だけで測定点を説明できるかなど、残る証拠の十分性を確認します。
顧客要求・製品追跡・保証から期間を考える

期間を決める材料は、顧客や契約の要求と、自社が製品の測定結果を説明する必要性に分けて確認します。どちらか一方だけを見ると、契約終了後や機器廃棄後に必要な証拠を早く削除するおそれがあります。
顧客・契約・適用法令の要求を確認する
顧客仕様書、品質協定、契約、適用法令、自社の品質マニュアルを確認し、対象となる記録名と保持条件を記録します。単に「顧客要求あり」とせず、文書名、版、対象製品、確認日、確認者の5項目を残すと、要求変更時に見直せます。
業種や製品によって適用条件は異なるため、別分野の保存年限を校正記録へ流用しません。判断に迷う法令や認定上の条件は所管行政庁や認定機関へ確認し、確認結果を計測器管理規程の作り方で扱う社内ルールへ反映します。
製品寿命・保証・遡及範囲を確認する
製品寿命、保証、出荷後の追跡可能性、異常時に遡る範囲を確認し、測定結果の説明が必要な期間を整理します。校正記録は機器そのもののためだけでなく、その機器を使って判定した製品の妥当性を説明する証拠にもなります。
機器の廃棄日は、現品管理を終える日であって、関連記録を必ず削除する日ではありません。計測器の廃棄・除却で残す廃棄理由、最終使用部署、最終校正状態と結び、廃棄後も製品側の追跡期間が残る場合は記録を保持します。
| 判断材料 | 確認する証拠 | 自社入力欄 | 見直す契機 |
|---|---|---|---|
| 顧客要求 | 品質協定・仕様書 | 対象記録と要求期間 | 契約・仕様変更 |
| 製品寿命・保証 | 製品規程・保証条件 | 説明が必要な期間 | 製品変更 |
| 遡及可能性 | 工程・出荷記録 | 追跡対象と範囲 | 異常・苦情発生 |
| 機器廃棄 | 廃棄承認記録 | 廃棄後の保持条件 | 廃棄承認時 |
| 法令確認 | 適用確認記録 | 根拠文書と確認者 | 法令・適用条件変更 |
記録媒体と原本性を区別する

同じ内容に見えるPDFでも、紙を社内で読み取った作業コピーと、発行元から受領したデジタル原本では受領経路が異なります。媒体ごとに原本の位置、検索方法、アクセス権、バックアップ、廃棄手順を決めます。
紙原本・スキャンPDF・デジタル原本を分類する
紙原本は保管場所と持出し管理、スキャンPDFは読み取り後の照合と元の紙の扱い、デジタル原本は受領経路と受領時の確認記録を残します。スキャンしただけで紙を直ちに廃棄できるとは限らないため、顧客要求、契約、発行元の条件、社内文書管理規程を確認します。
ファイルの命名や台帳への添付方法は校正証明書の管理・電子化の共通運用へ接続します。どの媒体を正式な証拠として扱うか、作業コピーはいつ消すかを区別し、同じ証明書の複数版が無秩序に残らないようにします。
アクセス権・バックアップ・検索方法を定める
証明書は、機器ID、証明書番号、校正日の3つのキーから検索できるようにします。閲覧権限と更新権限を分け、ファイル差替え、名称変更、削除を行った人と日時を追跡できる状態にします。
バックアップは、保存先を複製するだけでなく、復元対象、復元手順、確認責任者を決めます。監査時に検索できても、原本との関係や変更履歴を説明できなければ証拠管理として不十分なため、媒体と操作記録を一緒に設計します。
| 比較項目 | 紙原本 | スキャンPDF | 発行元のデジタル原本 |
|---|---|---|---|
| 原本性の確認 | 発行物と保管場所を確認 | 読取元と照合記録を確認 | 受領経路と発行元案内を確認 |
| 検索 | 台帳・保管箱番号 | 機器ID・証明書番号 | 機器ID・証明書番号 |
| アクセス | 保管庫の持出し権限 | 閲覧・更新権限 | 閲覧・更新権限 |
| バックアップ | 災害・紛失対策 | 複製・復元手順 | 複製・復元手順 |
| 廃棄 | 溶解・裁断等の承認 | 削除承認と履歴 | 削除承認と履歴 |
| 確認記録 | 受領・持出し | 読取・照合 | 受領・確認 |
保管ルールを決めて承認する

調査した根拠を、記録種別ごとの保管ルールへ変換します。期間の数字だけでなく、起算点、延長条件、法的保留、廃棄手順、承認者を表にまとめ、変更時の版管理を行います。
ステップ1 記録種別ごとに根拠と起算点を決める
証明書、結果票、依頼、修理、異常処置ごとに保持理由と起算点を決めます。起算点は校正日、結果承認日、処置完了日、機器廃棄日などから、自社の説明目的に合うものを選びます。異なる起算点を同じ列で管理すると満了日の意味が曖昧になるため、起算事由も記録します。
期間を決めた根拠には、顧客文書、自社規程、製品の追跡条件などを紐付けます。修理後の再校正に関する記録は、通常の校正記録だけでなく、修理内容、使用再開判断、影響確認との関係も保ちます。
ステップ2 保管・延長・廃棄の承認手順を定める
保管場所、アクセス権、延長条件、廃棄確認、承認者、廃棄ログを定めます。監査、顧客照会、製品不具合への対応中は、通常の満了日を迎えても廃棄を保留できる条件を設けます。保留を解除するときは、案件の終了と記録の利用状況を確認します。
廃棄ログには記録種別、対象機器ID、対象期間、廃棄日、方法、実施者、承認者を残します。期限到来だけで自動削除せず、対象記録と関連案件がないことを確認してから承認する仕組みにします。
台帳と証明書を機器廃棄後も追跡する

保管ルールを運用へ落とすには、廃棄済みの機器IDを消去せず、状態を変えて検索対象に残す設計が有効です。現役機器の一覧と混在させず、廃棄状態、最終使用、関連記録の保持期限を確認できるようにします。
ステップ3 機器IDへ記録と証明書を紐付ける
記録と証明書を機器IDへ紐付け、機器が廃棄済みでも検索できるようにします。証明書、結果票、修理、異常処置、廃棄承認を同じIDからたどり、記録ごとの保持状態と廃棄予定を確認します。
計測器の棚卸・現品照合で現品がないことを確認した後も、台帳レコードを物理削除せず「廃棄済み」へ更新します。これにより、監査対象期間に使われていた機器を過去時点の記録から検索できます。
ステップ4 計測器校正HUBで権限と履歴を残す
証明書PDF、閲覧権限、操作履歴、監査用出力を設定し、定めた保持ルールに沿って運用します。計測器校正HUBでは、機器情報へのPDF紐付け、権限管理、操作履歴、監査向け出力を使い、証拠を探せる状態を整えます。
一方、記録ごとの保存年限を自動判定する機能としては扱いません。保持期間、延長、廃棄の判断は自社規程と承認者が担い、システムには決定した状態と証拠を残すという役割分担にします。
まとめ
校正記録の保管期間は、一律の年数を探すのではなく、記録種別ごとの説明必要期間を承認して決めます。顧客要求、契約、適用法令、製品寿命、保証、遡及範囲を確認し、起算点、媒体、延長条件、廃棄承認まで一組のルールにすることが重要です。
機器を廃棄しても、関連製品の説明に必要な記録は残します。紙原本、スキャンPDF、デジタル原本を区別し、機器IDから証明書と変更履歴を検索できる状態を維持すれば、監査と顧客照会に同じ証拠で対応できます。
よくある質問
ISO9001では校正記録を何年保存しますか?
ISO9001は校正記録について一律の保存年数を定めていません。顧客要求、契約、適用法令、製品の追跡期間、保証、異常時の遡及範囲を確認し、自社の規程で定めます。
計測器を廃棄したら校正証明書も捨ててよいですか?
機器を廃棄しても、その機器で測定した製品の説明や監査に記録が必要な場合があります。廃棄日だけで自動削除せず、記録保持の根拠と廃棄承認を確認します。
スキャンしたPDFがあれば紙原本は廃棄できますか?
一律には判断できません。顧客要求、契約、発行元の条件、社内文書管理規程を確認し、原本性、読みやすさ、改変防止、廃棄承認の条件を満たすか判断します。
校正記録の保持と廃棄を、同じ台帳で管理
計測器校正HUBは、機器IDへの証明書PDF紐付け、権限、操作履歴、監査向け出力を通じて、承認済みの保持ルールを運用する担当者を支援します。記録種別や廃棄後の管理方法を整理したい場合は、無料で相談するからご相談ください。
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