はかりの定期検査と使用公差|取引・証明用と社内校正の使い分け【2026年版】
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はかりの定期検査と使用公差|取引・証明用と社内校正の使い分け【2026年版】

2026年7月23日22分で読める

取引・証明に使う非自動はかりは、計量法に基づく2年ごとの定期検査で器差が使用公差(検定公差の2倍)以内かを確認する法的義務があり、社内の工程管理だけに使うはかりはこの対象外で、ISO9001上の任意の校正で管理します。同じ「はかり」でも、取引・証明に使うかどうかで根拠となる制度がまったく異なります。

この違いを取り違えると、法定の定期検査の期限を見落としたり、逆に社内用まで法定と同じ検査を課して非効率になったりします。本記事では、非自動はかりの定期検査と使用公差の考え方を整理し、取引・証明用と社内工程用を計測器台帳でどう分けて管理するかまでを解説します。制度全体の切り分けは計量法の定期検査と校正の違いで扱っています。

結論:取引・証明用はかりは定期検査+使用公差、社内用は任意校正

はかりは「取引・証明に使うか」で管理の枠組みが二分されます。取引・証明用は計量法の検定と定期検査(原則2年ごと)が法的義務で、使用公差という法定の許容誤差で合否を判定します。社内の工程管理だけに使うはかりは定期検査の対象外で、ISO9001が求める任意の校正・検証と、組織が定めた社内許容差で管理します。

まずこの2区分を押さえると、後の管理設計が迷いません。校正そのものの基礎は計測器の校正とはを参照してください。

はかりの2区分(取引・証明用/社内工程用)

取引・証明用のはかりとは、商取引での計量や、計量証明・製品表示など第三者に示す計量に使うはかりです。これらは計量法上の特定計量器にあたり、検定に合格し検定証印が付されたものだけを使用でき、使用中は定期検査を受ける義務があります(計量法第16条・第19条)。

一方、社内の受入検査や工程内チェックのように、結果を社内でしか使わないはかりは、原則として定期検査の対象外です。これらはISO9001:2015 7.1.5の考え方に沿って任意で校正・検証し、社内で決めた許容差で管理します。下表は両区分の違いを1表にまとめたものです。

取引・証明用はかりと社内工程用はかりの管理区分を法的義務・精度確認方法・合否基準で比較した早見表の図解
取引・証明用はかりと社内工程用はかりの管理区分を法的義務・精度確認方法・合否基準で比較した早見表の図解
区分主な用途法的義務精度確認の方法合否の基準
取引・証明用はかり商取引・計量証明など検定+定期検査(原則2年ごと)都道府県・特定市の定期検査/計量士の代検査器差が使用公差以内
社内工程用はかり社内の品質管理・工程確認のみ定期検査の対象外ISO9001上の任意の校正・検証組織が定めた社内許容差

出典: 計量法第16条・第19条(e-Gov)/ISO 9001:2015 7.1.5。

使用公差と検定公差の関係(早見表)

はかりの許容誤差には、使用開始前の検定で適用する検定公差と、使用中の定期検査で適用する使用公差の2種類があります。使用公差は検定公差の2倍と定められており、使い込んだはかりに検定時よりも緩い許容を認める考え方です(JIS B 7611-2:2015 5.5.1/5.5.2)。

公差は目量e(最小表示単位)と、質量をeで表した数mによって決まります。取引・証明用で一般的な精度等級3級を例にすると、検定公差と使用公差は次のようになります。

検定公差と使用公差の関係を精度等級3級のひょう量帯別に示し使用公差が検定公差の2倍であることを表した早見表の図解
検定公差と使用公差の関係を精度等級3級のひょう量帯別に示し使用公差が検定公差の2倍であることを表した早見表の図解
精度等級3級のひょう量帯(m=質量÷目量e)検定公差使用公差(検定公差の2倍)
0 ≦ m ≦ 500±0.5e±1e
500 < m ≦ 2000±1e±2e

さらに大きいひょう量帯では検定公差自体が広がり、使用公差もその2倍で設定されます。精度等級ごとに具体値は異なるため、自社のはかりの等級と目量eを確認して当てはめてください(出典: JIS B 7611-2:2015)。

非自動はかりの定期検査と使用公差

非自動はかりの定期検査は、取引・証明に使うはかりが使用中も精度を保っているかを行政が定期的に確認する制度です。周期は原則2年ごとで、器差が使用公差以内であれば合格となります(計量法第19条)。ここでは対象・周期・実施主体と、検定・使用公差の実務ポイントを整理します。

定期検査の対象・2年周期・実施主体

定期検査の対象は、取引・証明に使う特定計量器のうち「はかり・分銅・おもり」です。事業所の所在地を管轄する都道府県知事(所在地が特定市の区域にある場合は特定市の長)が期日を定めて実施し、原則2年に1回受検します(計量法第19条)。

行政の定期検査に代えて、国家資格である計量士による検査(代検査)を受ける方法もあります。定期検査の期日前1年以内に計量士の検査を受け、その旨を届け出た場合は、その回の定期検査が免除されます(出典: 長野県計量検定所)。なお、検定証印が付された新しいはかりは、証印が付された年月の翌月1日から起算して1年を経過していない場合は、その回の受検が免除されます。

非自動はかりの定期検査の対象・2年周期・実施主体と代検査による免除の流れを示したフロー図の図解
非自動はかりの定期検査の対象・2年周期・実施主体と代検査による免除の流れを示したフロー図の図解

検定と検定証印・基準適合証印(使用開始前の適合確認)

検定は、使用を開始する前にはかりが技術基準に適合しているかを確認する制度です。取引・証明に使うはかりは、検定に合格し検定証印が付されたものでなければ使用できません(計量法第16条)。定期検査が「使用中」の精度確認であるのに対し、検定は「使用開始前」の適合確認という役割の違いがあります。

型式承認を受けた製品を対象に、指定製造事業者が自社で基準適合を確認して付す基準適合証印もあり、これも検定証印と同等に扱われます。実務では、はかりに付された証印の有無と種類を確認したうえで、定期検査の期限を台帳で管理します。

検定証印と基準適合証印を確認し使用開始前の適合確認と使用中の定期検査の役割の違いを示した図解
検定証印と基準適合証印を確認し使用開始前の適合確認と使用中の定期検査の役割の違いを示した図解

使用公差=検定公差の2倍の考え方(合否の見方)

定期検査の合否は、はかりの器差が使用公差の範囲内かどうかで判定されます。使用公差は検定公差の2倍で、これは使用によるわずかな摩耗や経年変化を見込んだ許容範囲です(JIS B 7611-2:2015 5.5.2)。

自社のはかりが合格しそうかを事前に見積もるには、精度等級と目量eから使用公差を求め、社内での日常点検で器差がその範囲に収まっているかを確認しておくと安心です。ただし、正式な合否判定は行政の定期検査または計量士の代検査で行われるものであり、社内点検はあくまで期限前の予備確認です。摩耗傾向の統計的なグラフ化や合否の自動判定までは、この記事の対象範囲には含めません。

社内校正で管理するはかりとの使い分け

社内の工程管理だけに使うはかりは、定期検査の対象外で、ISO9001上の任意の校正・検証と社内許容差で管理します。ポイントは、取引・証明用(法定管理)と社内工程用(任意管理)を計測器台帳で明確に分け、それぞれ別の期限で追うことです。ここを分けておくと、法定の定期検査を見落とさず、社内用に過剰な検査を課す非効率も避けられます。

社内工程用はかりは任意校正・社内許容差で管理

社内でしか結果を使わないはかりは、ISO9001:2015 7.1.5.2が求める「定められた間隔で又は使用前に」の校正・検証で管理します。校正周期は規格が一律の年数を定めているわけではなく、使用頻度・要求精度・使用環境・過去の結果などのリスクをもとに組織が決めます。周期の具体的な決め方は校正周期の決め方を参照してください。

合否の基準も、法定の使用公差ではなく、その工程で必要な精度から決めた社内許容差を使います。たとえば計量法の対象外でも、社内で「±1g以内」といった許容差を設定し、それを外れたら使用停止・調整という運用にします。校正作業そのものは校正業者に依頼し、社内はその記録と期限を管理するという役割分担が実務的です。

計測器台帳での区分(法定計量器フラグ・次回定期検査日と校正日の別管理)

取引・証明用と社内工程用を1つの台帳で扱う場合は、法定計量器フラグを設けて区分し、次回定期検査日と次回校正日を別項目で持たせます。こうすると、法定の2年周期と社内校正の周期を取り違えずに追えます。台帳設計の全体像は計測器管理台帳の作り方で解説しています。

計測器台帳で取引証明用と社内工程用を法定計量器フラグで区分し次回定期検査日と次回校正日を別項目で管理する項目設計例の図解
計測器台帳で取引証明用と社内工程用を法定計量器フラグで区分し次回定期検査日と次回校正日を別項目で管理する項目設計例の図解
台帳項目取引・証明用はかり社内工程用はかり
法定計量器フラグありなし
次回定期検査日前回検査+2年で管理―(対象外)
次回校正日社内校正を併用する場合に管理社内で定めた周期で管理
合否の基準使用公差(法定)社内許容差
証憑定期検査済証・検定証印校正記録・社内点検記録

この区分を台帳に持たせておけば、法定の期限と任意の期限を別々にアラートでき、期限漏れを構造的に防げます。証憑(定期検査済証・校正記録)も区分ごとに紐付けておくと、監査や取引先確認の際にすぐ提示できます。

まとめ

取引・証明に使う非自動はかりは、計量法に基づく原則2年ごとの定期検査で器差が使用公差(検定公差の2倍)以内かを確認する法的義務があり、社内の工程管理だけに使うはかりはこの対象外で、ISO9001上の任意の校正・社内許容差で管理します。両者を混同すると、法定検査の期限漏れや、社内用への過剰な検査といった問題が起きます。計測器台帳では法定計量器フラグを立て、次回定期検査日と次回校正日を別項目で持つと、法定と任意の期限を取り違えずに管理できます。定期検査や検定は都道府県・特定市・計量士などが実施し、社内はその記録と期限を一元管理するという役割分担が実務的です。

よくある質問

Q. はかりの使用公差とは何ですか?

使用中のはかりに認められる法定の許容誤差です。定期検査では器差が使用公差以内かどうかで合否を判定します。使用公差は検定公差の2倍で、使用による経年変化を見込んだ許容範囲です(出典: JIS B 7611-2:2015 5.5.2)。具体値は精度等級と目量eで決まります。

Q. 社内の品質管理だけに使うはかりも定期検査が必要ですか?

定期検査は取引・証明に使う特定計量器が対象です。社内の工程管理だけに使うはかりは原則として対象外で、ISO9001上の任意の校正・検証と社内許容差で管理します(出典: 計量法第19条/ISO 9001:2015 7.1.5.2)。

Q. はかりの定期検査の周期と実施者は?

取引・証明用のはかり・分銅・おもりは原則2年に1回です。事業所を管轄する都道府県または特定市が実施し、これに代えて計量士による代検査を受けることもできます(出典: 計量法第19条/長野県計量検定所)。

Q. 取引・証明用はかりと社内用はかりは台帳で分けるべきですか?

分けて管理するのが実務的です。法定計量器フラグを立て、次回定期検査日と社内校正日を別項目で持たせると、法定の2年周期と任意の校正周期を取り違えず、期限漏れを防げます。

出典

取引・証明用と社内用のはかりを、期限で取り違えない台帳へ

計測器校正HUBは、取引・証明用はかりの定期検査日と社内校正日を法定計量器フラグで分けて管理し、期限漏れを防ぐ計測器管理ツールです。検定・定期検査は都道府県や計量士などが実施し、本HUBはその記録・台帳・期限の一元管理を担います。

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